2015年07月07日

第39回 リコピンフォーラム「予防医学−機能性食品と医薬品」

第39回 「予防医学−機能性食品と医薬品」

1. 健康食品2兆円、医薬品1兆円
現在の健康食品市場は2兆円を超えるまでに成長しました。一方、OTC(薬局で買える医薬品:いわゆる大衆薬)市場は1兆円で、ここ10年以上成長していません。さて、日本OTC医薬品協会・吉野俊昭会長は、この春始まった新たな食品の機能性表示制度に関連し、消費者庁・坂東久美子長官宛てに「食品の機能性表示制度に関する申し入れ」を行いました。「消費者保護の観点に立ち・・・」と、消費者庁が消費者のために決定した食品の機能性表示制度に関して(OTC協会は何様でしょう)、消費者庁に忠告したわけです。OTC協会の申し入れは消費者保護の観点と言いつつ、自己利益保護のために行ったものといっていいでしょう非常に残念な団体行動といえます。

2. セルフメディケーションと予防医学
さて、OTC協会は大衆薬によるセルフメディケーション(自己治療)を啓蒙、推進しています。セルフメディケーションとは、軽微なケガや病気を自分で治療しましょうという、自己対処、自己治療です。一方、食品の機能表示は、なるべく病気にならない(予防)生活をめざし、食品の栄養機能成分を知って健康維持に役立てるための制度であり、予防医学(病気予防)の意識向上をめざす消費者支援(健康維持)といえます。OTC協会は何を勘違いしているのか、この団体に今回の申し入れをする根拠は見出せません。
予防医学への意識向上は社会的、国民的課題です。医薬品は病気・ケガの治療のためにあり、基本的に予防医学の対象外です。また、医薬品は予防医学の意識向上や健康寿命の延伸によって日常生活から遠のくという構造、ケガ・病気の治療を前提に存在しているわけです。一方、食品には食生活の質的向上、健康維持を延長する(予防医学の支援)という目的があります。ですから、この制度は医薬品をなるべく使わず、健康な時間を長く保つ(健康寿命の延伸)ことを目標にしているといえます。OTC協会はこの制度の普及、すなわち食生活の質的向上、予防医学の意識向上によって消費者がクスリから遠のく−すなわち自らの利益減少を恐れた行動といわれても仕方がないのです。私たちは食の質的向上によってクスリを使わない日常生活をめざすことが大切だからです。クスリは基本的に毒物(人工合成物)です。なるべくクスリに頼らない健康な時間、食生活の充実を通じた健康維持を保つようにしましょう。
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3. セルフプリベンション(自己予防)
私たちはこの機能性食品表示制度の発足を機に、セルフメディケーション(自己治療)ではなくセルフプリベンション(自己予防)をへの意識を高めることが大切です。病気になって(治療)ではなく、病気にならない生活習慣(予防)こそが大切だからです。そういう意味で医薬品市場が伸び悩むことは本来喜ばしいことです。クスリ(医師・薬剤師)に頼る前に自らに頼る(予防医学)、予防医学の実践が健康のためにもっとも大切だということです。セルフプリベンション−予防医学の実践として、日々の「食(水・空気も含め)・運動・睡眠」を見直しましょう。運動も決して無理をすることはありません。自分ができることをまず始める、日常行動として日々継続する(習慣にする)、それに尽きます。
長野県・松本市の健康ウォーキング教室(指導者:信州大学教授・能勢 博教授)がしばしばTVなどメディアで取り上げられているのをご存じの方も多いと思います。このウォーキング教室の根幹は「インターバル速歩」とよばれるウォーキングです。スピード歩行とゆったり歩行を組み合わせた歩行(3分ずつ)ですが、健康維持にとどまらず、医療(治療)の側面からも注目されるウォーキング方法として特筆されます。筋力維持はもちろん、腰痛改善、血圧改善、コレステロール改善、血糖値改善、睡眠の質改善など、まるで好ましい医療(治療)かのような報告が多くなっています。(www.jtrc.or.jp:熟年体育大学)
こうしたセルフプリベンション行動がクスリに頼るより好ましいのは明らかです。このインターバル速歩はそれほど負荷のかかるウォーキング方法ではありません。熟年に限らず、老若男女、誰でも、どこでも、すぐに実践可能なウォーキング方法です。食の質向上−加工食品はストップ−そして自分ができる運動習慣をもつ、それがまず始めるべき予防医学です。

4. 食品の機能成分を健康維持に活かす
食品の機能表示制度では健康康品だけでなく、一般の野菜(キャベツ・ホウレンソウなど)でも表示が進むことが期待されています。また、既に健康食品、サプリメントでは機能表示が始まっています。ただ、天然の食品機能成分はクスリのようにすぐ効果を自覚できるものはありません。数ヶ月、数年という時間軸のなかで自覚するものです。Aという食品の効果は何?、何に効くの?という会話をときおり耳にしますが、食品はクスリと異なります。とにかく安全である、それが基本です。何に効くと語る効果はあるか?、これは時間軸の問題であり、1ヶ月で効果はなくても1年ではあるともいえます。それが食機能の本質です。これは栄養機能成分に限ったことではなく、糖質やたんぱく質、脂質という基本栄養素でも同じです。食品成分は継続摂取が前提です。これまで長い間、食品に関して栄養機能成分(研究も)がおろそかにされてきました。3大栄養素は意義が明らかでしたが、微量成分であるビタミンやミネラル、フィトケミカル、これら栄養機能成分に関して意識や研究が遅れていました。まさしく 『食はときに栄養となり、ときにクスリになる』(中国医学)のです。

関連して、食品と同じ天然成分でも比較的効果を自覚しすいものに漢方薬(クスリ)があります漢方薬はいわゆる薬用成分を高濃度に含んだ食品成分といえます。同じ天然成分であり、基本的に食品成分と同様です。一方、野菜に含まれるビタミンは天然成分だけでなく、人工合成されたビタミン薬(クスリ)もあります。さらに、漢方薬の素材原料、生薬には一般食品もあります。(生姜(ショウガ)、大棗(ナツメ)、葛根(クズ)、桂皮(シナモン)、陳皮(ミカンの皮)、胡麻(ゴマ)、薄荷(ハッカ)など)。漢方薬は薬用成分を含んだ天然成分ですが、多くの生薬にポリフェノール(フラノボイド成分)が含まれており、活性酸素やフリーラジカルの消去作用をもっています。その意味で「食はときに栄養であり、ときにクスリである」わけですが、そこが多くの近代薬(人工合成物)との最大の差です。ですから、食を通じた健康維持が第一、クスリは漢方薬を用いて治療するのが第一ということになります。可能な限り漢方薬での治療が好ましいと考える医師も増えています。近代薬は自然界に存在しない人工合成物であり、本来的に人体になじまない物質です。そして、毒性があります。それをクスリとして役立つ有効範囲で活用しているわけですが、基本的に毒物であることは否めません。ですから、そうしたクスリ(近代薬)に頼る前に食の質向上こそが大切な取り組みなのであり、それが予防医学の実践、セルフプリベンション行動になります。
                               (第39回 完)




posted by 高原裕一 at 19:18| ダイエット&ウエルネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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