2015年02月12日

第38回 リコピンフォーラム 「食品の機能表示-抗酸化機能」

第38回 『食品の機能表示-抗酸化機能』

先頃、食品の抗酸化力などの表示に関連し、第8回AOU研究会が開催されました(2014;11/26 虎の門ヒルズ)。この研究会は既に米国で始まっている食品の抗酸化力(活性酸素の中和力)表示を進める研究会です。AOUは、Anti Oxidant Unit(抗酸化物)の略ですが、この春日本で始まった食品機能表示との関連でも注目される食品機能です。

1. 食品の機能表示制度
食品の表示に関し、現在、「特定保健用食品(トクホ)」および「栄養機能食品」の制度があり、一定の表示が認められています。前者は加工食品(サプリメントなど)および生鮮食品・野菜など、後者は加工食品で認められている制度です。一方で、何ら根拠を持たずに、まるでダイエット効果があるかの表示(宣伝)をし、消費者庁から処分を受ける企業もあります
さてこの春、一歩進んだ食品の機能表示が始まりました。これはトクホ同様に、健康食品、サプリメントを含む食品一般の機能表示ですから、キャベツや白菜、ホウレンソウといった日常野菜でも適用されるものと思われます。今回の制度ではトクホ(臨床試験)ほど根拠は必要ではなくなりました。臨床効果に限定せず、当該成分の研究報告(システマティック・レビュ−)を申請し、企業責任で表示できる規格基準型制度になっています。
しかし、栄養成分やクスリ成分など口から入る飲食物はどう分解、代謝、分布、吸収、排泄されるか、それが重要、関心も高いわけです。特に、クスリは容量次第で毒になりうる成分のため、「クスリとして利用できる量(至適容量)」や副作用(有害事象)を調べる試験が必須とされています。それでも市販されてからそのクスリで亡くなるニュースは度々起きています。食品は誰もが毎日摂るものですから、これは容量次第で毒になったり、副作用(有害事象)をもっていては大変です。当然ですが、「安全」か、そこに最大の重きがおかれ、食品の機能に関してはこれまで重きが置かれませんでした。ただ、「安全」というのも短時間でなく、長時間でわかるものがあることに留意が必要です。一部の食品添加物のように急性毒性(短期)はなくても長期的に蓄積し続け、毒性が高まっていくものもあるからです。

2. クスリに頼る前に健康な食生活!
病気になるのは突然の出来事ではありません。がんだけでなく、病気は10年あるいは20年の歳月を経て発症するといわれます。ウイルスなどの外来原因は別に、高血圧症、糖尿病、動脈硬化など自身の内なる要因を主因とする病気の多くが年月を経てから発症します。「病気は10年前の生活習慣」といわれたりします。長年、塩分の多い食事を積み重ねたり、喫煙していたり、動物油脂の多い食事を続けていたり、野菜をほとんど摂らない食事であったり、ジャンクフード・コンビニフードを常食にしたりと・・・。PM2.5というイオウ酸化物が問題になっていますが、トラックやバスなどが日夜走る沿道に住む方も多いかもしれません。広く食生活を考えるとき、住環境、空気(酸素)、水も大事な要素です。私たちの健康は60%がそういう意味での食生活で決まるといわれますが、人生80年と考えたとき「健康な食生活」についてもう一度考えてみる必要があるでしょう。また、クスリは自然界に存在しない人工合成物、人工化学物質です。クスリには必ずマイナス(副作用)、毒性がありますマイナスがあるがプラスがある・・・その1点で使われるのがクスリという人工化学物質です。

さて、食生活で「糖質制限食」が話題となり、専門家(医師・薬剤師・栄養士)もその当否を議論しています。特にがん、糖尿病、肥満の治療(食)として活発な議論があります。糖質(炭水化物)は酸素で燃やされエネルギー転換する栄養素ですから、「糖質制限食=摂取エネルギー制限(抑制)」と考えていいでしょう。がん細胞は自分自身の変異した細胞が修復、排除されずに生き残った細胞であることをお話しました。そして、この変異細胞(がん細胞)は、今度はコントロールを受けることなく勝手に細胞分裂し、増殖します。この変異細胞(がん細胞)が分裂、増殖するとき通常の細胞分裂より多くのエネルギーを必要とすることがわかっていて、エネルギー(体力)が格段に消費されます。そこで、エネルギーを抑制し、がん細胞の分裂、増殖エネルギーを抑えようという目的で糖質制限が提案されています。また、糖尿病の治療では血糖値のコントロールを最重視しますが、糖質摂取を抑え、血糖(ブドウ糖)上昇を抑えようという考え方です。いずれも「摂取エネルギー制限」を主眼とする治療(食)といえます。
現代は栄養過多、エネルギー過剰の時代といってよく、そのエネルギー過剰がさまざま病気を引き起こす原因になっています。果たして、自分の生活にそれだけエネルギーが必要なのか、この機会に摂取エネルギーについて十分考えたいものです。有名な食評論家が野菜を2倍食べ、糖質を制限し、20Kg痩せたという話題がありました。シンプルで実に理にかなっていると思うわけです。これはダイエット(健康なカラダになること)の基本だからです。特に、野菜の増量です。野菜は代謝機能を高めるビタミン、ミネラル、フィトケミカルを含んでいます肥満の人は消化、代謝機能が落ち、糖質、脂質が十分代謝されない人が多いためです。糖質(炭水化物)、脂質が栄養原料(エネルギー)となり、それらを分解、代謝、分布、吸収、排泄するコントローラー、それがビタミンやミネラル、フィトケミカルというわけです。

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3. 抗酸化力表示の意義
抗酸化力とは、活性酸素と結合することによって活性酸素の毒性を中和(消去)・無毒化する力です。「酸化」は、酸素を利用して生きる生物にとって避けられない生体反応です。身近なところで金属のサビ、リンゴを放置したときの赤色化などがあります。私たちのカラダも同様に酸素(活性酸素)でサビるのです。活性酸素は電子を失って不安定(フリーラジカル)になって体内(細胞)で彷っている酸素です。この電子を失った酸素(活性酸素)は安定しようとして他物質(細胞など)の電子を奪う=攻撃するのです。この攻撃が病気の発症に関係します。特にがん、アレルギー、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、消化性潰瘍などは活性酸素の関与が報告されています。病気の発症は時間軸では長時間の結果であるため、私たちは日々活性酸素の攻撃を実感することはありませんが、活性酸素は細胞毒性(攻撃力)が強いことを知ってください。
多くの野菜にはその活性酸素と結合する力のある(中和、消去する)抗酸化成分(ビタミンやカロテノイド、ポリフェノール)が含まれています
抗酸化力が強い」というのは、抵抗力が強いのではなく活性酸素と結合する力(反応する力)が強い」ということです。ですから、抗酸化成分が体内に豊富であればその抗酸化成分が活性酸素と結合してくれ、細胞は活性酸素の攻撃から免れます。体内でもこうした成分が合成されますが、エイジングとともに低下しています。ですから、日々野菜から抗酸化成分を補給することが大切なのです。抗酸化成分ではビタミンCやビタミンEをご存じだと思いますが、近年はフィトケミカル(リコピンなど)に注目が集まっています。米国では数年前から食品(野菜、サプリメントなど)の抗酸化力を参考指標としてラベル表示しています。日本でも農林水産省の外部機関やAOUなどで検討が進められています。ただ、抗酸化力の意義に関するコンセンサスはあるものの、抗酸化機能成分の検証や体内での抗酸化機能の働きを巡って議論があるようです。

これに関連し、クスリは代謝され、どの程度クスリの成分が血中へ移行するか、体内利用率(バイオ・ライアビリティ)が検証されます。しかし、この検証も現実医療とはかけ離れていることが指摘されています。それは、数種類のクスリを併用したクスリの体内動態は検証されていず、わからないからです。食品成分(天然成分)はクスリ(人工合成成分)より働く機能が数段弱く、相互作用や相乗作用もクスリより弱いといえます。食品に含まれる機能成分はクスリのように明確に測定できません。また、クスリでも天然の機能成分(薬用成分)である漢方薬は食品成分と同様です。天然成分は人工合成成分(クスリ)より緩やかな作用をもっていて、だかこそ毎日安心して摂ることができるわけです。抗酸化力表示を期待している人は多く(70%以上という調査報告があります)、日本でも早く米国並みの抗酸化力表示がなされるよう期待しています。
                                        (第38回 完)



posted by 高原裕一 at 17:57| ダイエット&ウエルネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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