2014年08月05日

第34回 リコピンフォーラム「ダイエットのための睡眠」

第34回 『ダイエットのための睡眠』

今回はダイエットに深く関わっている「睡眠」を掘り下げます。まず、睡眠が脳(大脳)の休養に必須であることを知りましょう。サーカディアン・リズム(既日リズム)、メラトニン・コルチゾールなどのホルモンや免疫能はじめ、睡眠の役割を考えたいと思います。ウエルネス・ダイエット(心身の健康)に関わり、食生活と並んで健康維持に影響ある睡眠についてグッド・スリ―プアドバイザー(認定)の立場から解説します。

1. 25時間時計(体内時計)
私たちのカラダには時計(体内時計・生物時計)があるといわれます。この体内時計とは、一日24時間ではなく25時間で刻んでいて、生物の生命活動に関わる、いわば「生命維持時計」であるということです。
脳幹深くにあるこの生物時計はメラトニンというホルモンに関係しますが、光と闇に反応して「生物時間」を刻んでいます。メラトニンは主に脳の「松果体」という細胞で分泌されますが、細胞の抹消(皮膚)でも微量が分泌され、眼だけではなくカラダ全体で光を感じ、生物として昼夜の行動を促しているわけです。なお、メラトニンのサプリメントは時差ボケ解消や不眠解消に使われますが、日本では医薬品(米国では健康食品)のため、自由に入手することはできません。
さて、「朝陽とともに起き、夕陽とともに寝る」生活をしている地域が今もアフリカなどにあります。生物時計は光に反応する時計ですから、これこそ生物本来の健康生活ともいえるでしょう。その反対に、昼間寝ていて、暗くなって活動する生活は不健康な生活だといわざるをえません。それは、生物は暗闇とともに生物時計によって心身の緊張が解かれ、活動的でなくなるようにできているからです。光ある昼間と異なり、夜になると体温や血圧は低下し、神経は緊張をほぐす副交感神経に支配され、カラダ全体をリラックスさせます。このとき、メラトニンの分泌量は高まり、生物として休息を促し、カラダの平穏(ホメオスタシー;恒常性)を保つように働いています。このことは、私たち生物には光ある昼間に活動し、光ない夜間に休息(睡眠)するという「生物時間」が本来的にインプットされているということです。それに逆行する生活は不健康であるといっていいわけです。
また、現代は昼夜の境目ない社会になりつつあるわけですが、近年、夜間勤務また昼夜交代勤務を長く続ける人は、昼間勤務の人より「がん発症率が高い」ことがWHOから公表されました。メラトニンは暗くなると休息を誘導するホルモンですが、こうした勤務群では休養を促すメラトニンの分泌を抑えてしまう生活といえ、生物的には健康生活とはいえないわけです。これに関連して、米国・シカゴ大学医療センターから(動物実験)断続的な睡眠は腫瘍を増大させるという研究報告がだされています。私たち生物は朝になると(光が増えると)メラトニンの分泌量が低下し、今度は心身の緊張を高めるコルチゾールというホルモンや交感神経に支配され、心身の緊張を高め、活動力を高めるのです。生物としての人間は、光(生物時計)、そしてメラトニンやコルチゾールにコントロールされて恒常性を保っているというわけです。 

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2. ダイエットと睡眠(大脳の休養)
さて、睡眠はなぜ大切なのか、まず大脳の休養といえるでしょう。私たちの思考をつかさどる大脳は、休養しないと本来の機能を発揮できないのです。連続した思考ができない(思考がつながらない)、思考回路が正しく動かず、適切な判断をできなくなるなどです。これは、大脳疲労によって脳神経(ニューロン)が一時的に変性し、生物としての適切な判断ができなくなるということです。ですから、生物時計は暗くなるとメラトニンを分泌させ、睡眠を誘導して大脳に休息を命じるわけです。
睡眠はダイエット(カラダの健康)にもおおいに関係します。動物実験で数多く報告されていますが、人でも報告があります。米国・コロンビア大学の研究報告では、16歳から21歳に至るまでの睡眠時間と肥満の比較研究です。これは10代後半の睡眠不足は肥満につながりやすく、10代は8時間以上の睡眠が必要であると結論しています。また、睡眠不足、睡眠障害の継続は2型糖尿病を発症させたり、肥満など代謝疾患を誘引するという、ドイツ・イギリス・スイスでの国際研究が報告されています。また、光による生物時計によって私たちの遺伝子(DNA)が規制されているという研究(イギリス・サリー大学)があります。これは22人を一日28時間の人工的環境下で生活させ、遺伝子発現がどう動いたかを調べたものです。昼夜は一日4時間ずれていき、それによってDNAの発現機能が障害され、サーカディアン・リズムが混乱することがわかっています。
さて、300名の女子大生を対象に睡眠の質と体脂肪の付着について研究した米国・ブリガムヤング大学の報告があります。睡眠時間が6.5時間以下と8時間、就寝および起床時間の変動幅が60分以内と90分以上という比較研究です。それによれば、睡眠時間は8時間〜8時間半以内、就寝および起床時間の変動幅が60分以内であることが体脂肪がつきにくいという結果でした。とにかく、よく眠ることが肥満防止になるという研究結果は数多く報告されています。ですから、ダイエットは「宣伝だけの疑似ダイエットサプリ」などよりも「食生活・運動・睡眠」の改善が大切であることはおわかりいただけると思います。
やや専門的になりますが、体脂肪はエネルギーの貯蔵庫です。私たちの生命活動エネルギーは、余分な糖質や脂肪が脂肪で蓄積されるのですが、エネルギーがたくさん必要なときはその脂肪が酸素で燃やされ、エネルギー源(ATPというエネルギー)として合成されます。そして、それが分解されるときにエネルギーを生み出します。しかし、必要以上に脂肪が蓄積するのは肥満に繋がりますので、脂肪細胞は自ら脳の食欲中枢に食欲を抑えるよう「レプチン」という伝達ホルモンを出します。そうやって、食べ過ぎを抑制しようとします。ところが、睡眠不足が続くとレプチンの伝達能力が低下し、食欲抑制の指令が脳に届かないことがわかっています。糖尿病はエネルギー過剰が大きな原因の一つですが、このレプチンに関する研究が進み、コントロールする糖尿病治療薬も販売されています。肥満と睡眠不足の相関が強く指摘されるわけですが、睡眠は生物時計のワザ、生物の恒常性を担うホルモンバランスに大きな影響を与えるのです。よき睡眠こそよきダイエット、そう知っておきたいものです。
                                               (第34回 完)







posted by 高原裕一 at 21:03| ダイエット&ウエルネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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