2014年10月16日

第35回 リコピンフォーラム「リコピンのある食生活と予防医学」

第35回 『リコピンのある食生活と予防医学』

1. カロテノイドとポリフェノール―抗酸化力
リコピンなどのカロテノイド成分は油に溶ける成分ですから、私たちは日常から意識しないと不足しがちです。それに対し、カテキンなどポリフェノール成分は水に溶ける成分のため(緑茶、ジュースなど)、口にする機会が多く、そう意識しなくても摂っています。同時に、ポリフェノール成分は体内滞留時間が短いので頻繁に(一日5〜6回)摂る必要があります。また、リコピンは脂溶性(油性)成分ですから、トマトジュースを飲むだけでは摂れません。一方、脂溶性(油性)のカロテノイドは滞留時間が長いものの、一日に摂る機会はポリフェノールと比べて少ない(食事のときくらいでしょう)ため、食事ではカロテノイド成分の摂取を意識しましょう。ビタミンC(水溶性ビタミン)とビタミンE(脂溶性ビタミン)の関係とよく似ています。ポリフェノール成分を含んだ野菜や果実は多いのですが、カロテノイド成分はポリフェノールほど多くの野菜、果実に含まれません。カロテノイド成分は日頃から少し高い意識が必要になります。
【カロテノイドの含有野菜・果実類】
リコピン・・・・・・・・・・トマト・金時ニンジン・カキ(柿)
ルティン・・・・・・・・・・・・トマト・ホウレンソウ・ブロッコリー・キャベツ
βクリプトキサンチン・・ミカン(かんきつ類)
βカロテン・・・・・・・・・・・カボチャ・ニンジン
フコキサンチン・・・・・・モズク(カッソウ類)

どちらも活性酸素の中和・消去能力が高く、ポリフェノールは比較的軽度の水溶性活性酸素を、カロテノイドは軽度〜重度の油性活性酸素、水溶性活性酸素のいずれをも中和・消去する働き(抗酸化力)があります。特に、リコピンは日常食物(トマト)でもっとも高い抗酸化力(ビタミンEの103倍)をもつ栄養機能成分です。
ここで、「活性酸素を中和・消去する」働きとは、ポリフェノールやカロテノイド自らが活性酸素と反応して活性酸素を中和してしまう働き(酸素と水に還元、無毒化)です。その結果、活性酸素が生体の細胞を攻撃しなくなります。体内にはそうした防御成分(SODなどの酵素)がありますが、現代社会は内でも外でも活性酸素が大量に発生し、私たちのカラダには活性酸素が蓄積しています。ですから体内の中和・消去成分だけでは活性酸素を処理(無毒化)、防御しきれないわけです。そのため、そうした働きをもつカロテノイドやポリフェノール、ビタミンC、ビタミンEなどを食事で補う必要があります。活性酸素は猛毒(毒性が強い)で、がん・アレルギー・リウマチ・心臓病などの発症に関与しているという報告があります。私たちは活性酸素の被害を軽減するために、脂質(お肉)中心でなく、カロテノイドやポリフェノール成分を含む野菜中心の食生活を充実させるべきといえるでしょう。合成成分原料の化粧品でも被害が発生していますが、天然の美白成分、リコピンは注目の美白・防御成分なのです。肌荒れ、皮膚のカサカサは活性酸素の被害ですから、天然リコピン(カロテノイド成分にはω9系 オリーブオイルが必須)に目を向けてみる必要もあります。この美白化能はリコピンがもつ抗酸化力です。

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2. オリーブオイル―ω9系オレイン酸の脂肪代謝力
オリーブオイル(オレイン酸)は栄養学的には必須脂肪酸とされていませんが、純度が高く、健康維持には極めて付加価値の高い脂肪酸です。先頃、米国・イリノイ大学から発表された研究報告は、このオリーブオイルの付加価値を改めて意識させる研究内容でした。オリーブオイルとパルチミン酸オイル(動物油・パーム油など)の比較研究ですが、心臓病を患ったラットにオリーブオイルを与えたところ、心筋細胞内の血流、脂肪代謝が大幅に改善、正常化しました。同時に、パルチミン酸オイルを与えたラットの心臓では脂肪代謝が乱れ、有害な脂肪代謝産物を生み出していることが報告されています。
心筋細胞には生命エネルギーをつくる(ATPを合成する)ミトコンドリアが多く集まり、脂肪酸はこのプロセスにエネルギー合成原料を供給しています。パルチミン酸はエネルギー産生が不十分で、ミトコンドリアのエネルギー合成(ATP合成)が十分に行われないわけです。その結果、心筋細胞に必要なエネルギーが供給されずに心臓病につながったわけです。オリーブオイルは代謝力が高く、ミトコンドリアにしっかり取りこまれ、エネルギー合成(ATP合成)を高めています心臓や脳はエネルギーをもっとも消費する臓器であり、多くの病気で細胞(ミトコンドリア)内エネルギー産生が低下していることもわかっています。私たちのエネルギー産生(代謝)では「良質の油脂成分」が必要です。

3. コエンザイムQ10―エネルギー産生のコントローラー
「基礎代謝」という言葉をご存じだと思います。特に活動せず、寝ているだけでも生命維持に必要なエネルギー代謝のことです。「何もしないで、ただ寝ているだけでもお腹が空く」のは、このエネルギーが消費されるためです。この生命維持エネルギーは30歳代〜40歳代で男性が1,400〜1,500KCal、女性が1,100〜1,200KCalです。10歳代〜20歳代は男性が1,600Kcal、女性が1,300Kcalと高く、逆に50歳代〜60歳以上で男性が1,300KCal、女性が1,000Kcalとされ、基礎代謝エネルギーは一日に必要な総エネルギーの70%程度です。また、心臓や脳は特にエネルギーを必要とする臓器で、運動する人は筋肉もエネルギーを大量に消費します。そのため、エネルギーを多く必要とする臓器にエネルギーを産生する細胞組織、ミトコンドリアが集まっています。そのミトコンドリアはエネルギー源となるATP(アデノシン3リン酸)という酵素(こうそ)が合成され、再び破壊(分解)されますが、私たちの生命活動エネルギー源はそのATPの破壊エネルギーす。ミトコンドリアではこの生命エネルギーとなるATPの合成と破壊(分解)を生きている限り繰り返しています。
さて、ミトコンドリアのエネルギー合成(ATP)は私たちが食べた食物と酸素が原料です。ただ、エネルギーになるまでに多くのプロセス(生化学反応、酵素反応)があり、その最終段階をコントロールするのがコエンザイムQ10という補酵素(ほこうそ)です。コエンザイムQ10(ビタミンQ)はビタミン類似の働き(触媒反応)をしますが、エネルギー合成能力を高めたり低下させたり、調整してします。体内でも合成されるコエンザイムQ10ですが、エイジング(老化)とともに産生能力は低下しますので、食事で意識してコエンンザイムQ10を多く含むイワシ(青み系)などを摂るようにしましょう。イワシは栄養学的にコエンザイムQ10のほか、DHA、EPAなどを含むお魚の王様です。

4. 「地中海料理」―リコピン(トマト)とオリーブオイル
国立がん研究センターの予防医学研究の責任者、津金昌一郎先生が地中海沿岸エリアは心臓・血管系の病気やがん発症率が低いことなど、地中海料理のレシピにそのヒントがあると述べられています。病気は(特にいわゆる成人病:肥満・高血圧・心臓脳血管系病・がん)は突然病気になるわけではありません。「長い年月の食生活をはじめライフスタイルの結果」であることを十分認識したいものです。食生活が健康維持にもっとも影響があるわけですが、近年ではコンビニフード、ジャンクフードが隆盛で、もしそんな食生活が日常なら10年後、20年後の健康に大いなる危険が迫っていると言わざるをえません。どうか、食品素材がわかるレシピを充実させたいものです。
さて、地中海料理は「混ぜレシピ」です。現在の日本は「混ぜレシピ」がずいぶん減ってしまったように思いますが、お隣の韓国料理の基本は「混ぜレシピ」です。地中海料理はトマトとオリーブオイルがベースで、良質のカロテノイド(リコピン)をオリーブオイルで溶いて魚介やお肉を組み合わせる「いわば鍋料理」です。それほど手をかけることもありませんので、週に1度はぜひ地中海レシピにチャレンジしましょう。
                                           (第35回 完)




posted by 高原裕一 at 12:14| ダイエット&ウエルネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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