2014年05月21日

第32回 リコピンフォーラム 「 リコピン(カロテノイド)とがん予防 」

第32回 『 リコピン(カロテノイド)とがん予防 』

欧米また日本でも、リコピン(カロテノイド)によるがん予防に関する研究(コホート)が進められています。

1. 「がん」は老化疾患
60兆ともいわれる私たちのカラダの細胞は毎日数千もの細胞が変異しています。その変異した細胞は免疫機構(異物の排除・修復機構)などで修復されたり排除され、正常な細胞が残ります。ところが、その変異細胞(がん細胞)が何らかの理由で修復・排除されないとき、正常な細胞と異なる行動(分裂・増殖)をするようになりますルールを無視して勝手に行動するのですが、それが自分(の細胞)でありながら自分でコントロールできない細胞、すなわち「がん細胞」です。
なぜ、そうなるのか。やはり生物の老化(細胞の老化)の問題があります。老化(エイジング)は病気のようで病気ではない(老化現象)という両面をもっています。
私たちは身体機能(足腰)の老化は自覚しやすいのですが、内蔵(臓器)、細胞の老化はなかなか自覚できません。その意味で 「がん」は臓器・細胞の老化、免疫機能の老化にともなう機能性疾患と考えることができます。かつて、がんは遺伝性疾患といわれたりましたが、今は誰にも訪れる老化を背景とする病気であるといえます。誰もが老化するわけですので、誰もが罹患する可能性がある病気、それが「がん」という病気なのです。

2. 老化ということ
内蔵(臓器)は眼に見えないため、どうしても私たちは皮膚、白髪や脱毛、あるいは白内障、そして足腰のように内蔵の老化(加齢)は実感できません。しかし、臓器も老化しています。私たちの生体防御機構を担う免疫機能は20歳代がピークで、その後は加齢とともに機能低下していきます。臓器の機能低下は心臓がもっとも遅いのですが、肝臓や腎臓は60歳代以降、20歳代より20%〜40%程度も機能低下します。
老化は誰にも訪れる生物の時間として考えることができます。2000年以上前、中国で始皇帝という王様が老化を止める薬を求め、そこから漢方薬(中薬)の歴史が始まりました。しかし、老化という生物時計を止めることは誰にもできないのです。なぜなら、老化という時間は生まれたときからの「自分自身のDNA(遺伝子)の命令」だからなのです。ただ、この命令も学問的には125年という時間を保証していると考えられています。私たちは誰にも訪れる老化というDNAの歩みを嘆くことなく、いかに充実した時間にするか、それが大切な思考になるといえるでしょう。

3. 「がん」の予防
て、「がん」は自分自身の変異DNAが修復、排除されないまま残った細胞(変異細胞)によって始まる病気であることをお話しました。「がん」は自分の内なる病気であり、感染症のように外来原因があるわけではありません。老化は、一言でいえば生体機能の機能低下ですが、私たちのほとんどの生体機能は20歳代以降、低下します。ですから、そうした変化に適応していくライフスタイルが大切です。40歳代でも、50歳代でも、その自分に合うライフスタイルが望まれます。肉体疲労は50歳代になると20歳代のときのように回復しないことを多くの人が経験しているでしょう。カラダの変化を意識、自覚することが大切です。食生活や睡眠、運動、休養などを振り返り、ウエルネス(健康)なライフスタイルを作りましょう。特に、40歳代以降、それが人生で優先的な取り組みともいえるでしょう。

また、「健康、病気という状態は、健康と病気のバランス」です。100(健康)対0(病気)の人はいません。日常、健康と思っていても51(健康)対49(病気)かもしれません。このバランスは年代や環境によって絶えず変化します。ですから、健康だった人が突然、病気になるわけではないことを自覚しましょう。ただ、老化とともに病気に近い健康人が増えていきます。予防医学は自分で行う治療です。健康と病気のバランスが病気(傾向)に傾かないようにすることを目的に、他者(医師や薬剤師)ではなく、自分自身が取り組む医学です。食生活や睡眠、身体活動(運動)など、一日の時間を見直してみることをおすすめします。
すなわち 「がんを予防する」生活とは、誰にでも訪れる「老化という生物時間に適応する生活」に他なりません。それは 「いつまでも20歳代のようにではなく、50歳代らしい、あるいは60歳代らしい、それぞれ年代に適うライフスタイルを作ることと言っていいでしょう。50歳代の人が20歳代のような不規則な生活、ジャンクフードづけ食生活、徹夜を繰り返しているなら、それはがんを誘引するライフスタイルといえるのです。
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4. リコピンによるがん予防研究
1)前立腺がん・・・米国・ハーバード大学の6年間にわたるコホート(疫学研究)
40〜75歳の47,000人(男性)の調査研究があります。6年で47,000人のうち812人が前立腺がんに罹患しましたが、日常の食生活調査(特に野菜・果実 の摂取)で「トマト料理とイチゴ摂取量」に大きな差が見られました。特に、トマトベースの料理を週10回以上摂る人はがんの罹患危険性が45%低いという研究報告です。リコピン、β-カロテンの意義についても言及しています。

2)肝臓がん・・・京都府立医大と国立がん研究センター(共同研究)
リコピンが肝臓がんの発症を抑制するという研究報告(動物実験)があります。この研究報告によれば、肝臓がんを罹患したマウスにリコピンを40週摂取させたところ、がん発症率が88%(リコピン非摂取マウス)から43%に低下したという結果です。また、大腸がんについても京都府立医大と秋田大・カゴメ(共同研究)の研究報告(動物実験)があり、大腸がんを罹患したマウスのうち、リコピンまたはルティンを摂取したマウスは水だけを摂取したマウスより30%がんの発症率が抑制されました

3)リコピンの活性酸素消去の研究
リコピンが活性酸素と反応性が高い(=抗酸化・活性酸素消去力が高い)ことが確認されています(静岡大と徳島大・カゴメの共同研究)。このことは、私たちの体内で活性酸素が増大したり、体内の活性酸素消去酵素(SODなど)が減少したときにリコピンが活性酸素と反応(=抗酸化・消去)し、活性酸素による細胞への攻撃を防御しているわけです。ビタミンCやE、コエンザイムQ10などにも同様の働きがあり、リコピンはもっとも強い消去力(抗酸化力)をもっています。
外界にあふれる活性酸素の誘発物質(紫外線・排気ガス・電磁機器など)、また体内の活性酸素の過剰誘発は、がん、アレルギーの発症にも関連します。活性酸素の攻撃から細胞損傷を防御する食生活とライフスタイル、それががん予防につながるといえるのです。
トマト料理、オリーブオイルを日常の家庭料理にしている地中海沿岸は心臓病やがんの発症率が低いという事実、食生活は多くの示唆を与えてくれます。
                                                   (第32回 完)



posted by 高原裕一 at 00:00| ダイエット&ウエルネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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