2014年01月21日

第27回 リコピンフォーラム 「ただ生きるのでなく、よく生きる」

27回  『 ただ生きるのでなく、よく生きる 』

健康のまま天寿を全うするのは誰もの願いかもしれません。今回のフォーラムでは、健康に、ウエルネスに生きるということを少し考えたいと思います。


1. 感染症の克服と人生という時間の延長
戦後間もなく(50〜60年ほど前)、医療の大きな課題は感染症の治療でした。国をあげた公衆衛生(環境浄化)の取り組みで全国津々浦々に保健所が設置され、製薬会社では抗生物質の研究開発が盛んになりました。感染症はこの時代の国民病だったといえるわけです。
ここ20年、そうした取り組みや高栄養食品、健康保険制度、医師の増加もあり、感染症は静まり、抗生物質(抗菌薬)の開発も以前ほどニュースになりません。しかし、現代でもエイズ、C型肝炎、インフルエンザ、ノロウイルスなどのウイルス感染症、マラリア原虫や新規耐性菌など、私たちの周りで感染症の脅威が消えたわけではありません。ただ、治療薬(抗生物質)もなく、感染症を原因に亡くなる方が多かった
当時の平均寿命は50歳代後半ことを考えると、感染症はひとまず克服できたといえるでしょう。一方、この感染症の減少とともに平均寿命は右肩上がりに延長し続けてきて、この50年あまりの間、平均寿命では20年という人生という時間が延長したことになります。
人生という時間が80年といってもいい今、 長寿ゆえの病(病というより、生物としての老化)が 感染症に変わって国民病(糖尿病、高コレステロール血症、動脈硬化症、高血圧症、認知症、がん・・)といえる時代になっています。現在、私たちが病を考えるとき、感染症などの外敵ではなく、老化という、自らの内の、生物としての個について考える必要があるかもしれません。そして、その病、すなわち老化は、治すというより自らの老化に向き合う人生の時間といえるでしょう。2000年にWHOが提唱した「健康寿命」という概念は、病というより、この宿命ともいえる生物の老化にどう向き合い、前向きに人生を生きるか、そんな命題を提唱したといえるでしょう。人間にとって、病(老化)はもっともウエルネスの脅威であることはいつの時代も変わりません。

2. ただ生きるのでなく、よく生きる
数年前にお亡くなりになった 
藤澤令夫(ふじさわ のりお)というギリシャ哲学の先生(京都大学名誉教授)がいらっしゃいます。私は医療のフィールドで長く奉職していますが、ご縁があって生前に京都・松ヶ崎の先生のお宅に伺ったことがありました。その時、先生から古代ギリシャでプラトンやアリストテレスが「ただ生きるのでなく、よく生きる」という命題を議論ていたことを拝聞し、驚いたことを覚えています。「よく生きる」という命題は、今日「人生の質」(QOL)とよんでいる命題だからです。さらに、どう生きるかはどう死ぬかと表裏一体であること、哲学と医学の関係など、先生から1時間あまり拝聞しました。また、先生は、人の生命、人生に対峙する医療だからこそ哲学が大切だと思うともおっしゃり、医師のセミナーでご講演いただくことになりました。
「生きるとは、死ぬことと見つけたり」、江戸時代の葉隠(武士道)です。先生のお話を拝聞しながら、私は葉隠で顕された生きるという哲学を思い起こしました。人がどう生きるか、どう死ぬかという思考は非日常であり、藤澤先生との交流は貴重な時間でした。「ただ生きるのではなく、よく生きる」、プラトンやアリストテレスの古代ギリシャ時代から今日まで変わることのない、人が生きていく大切なエッセンスかもしれません。

藤澤令夫先生のセミナー講演 『自然哲学と西洋医学−漢方思想の逆照射のために−』 は「藤澤令夫著作集(全7巻)」(岩波書店)に収録されています。また、「よく生きることの哲学」(岩波書店)という単行本にも収録されましたので、興味ある方はぜひ読んでみてください。
** 藤澤令夫 1925年(昭和元年)生、京都大学文学部卒、京都大学教授、同名誉教授、京都国立博物館館長。紫綬褒章授章、勲ニ等瑞宝章授章。2004年(平成16年)没。専門はギリシャ哲学、西洋古典学。
主な著作は「藤澤令夫著作集(全7巻)」(岩波書店)のほか、単行本では「自然・文明・学問・科学の知と哲学の知」(紀伊国屋書店)「ギリシャ哲学と現代世界観のあり方」(岩波新書)」「世界観と哲学の基本問題」(岩波書店)「よく生きることの哲学」(岩波書店)など。また、主な共著は「哲学のすすめ」梅原猛・橋本峰雄・藤澤令夫(筑摩書房)、「知の発見・叡智」広中平祐・藤澤令夫(てらこや出版)など。
 thth.jpg thCABG9ZJ6.jpg resizeCA86U27O.jpg thCAZIN79C.jpg 
3. 心身一元(一如)と心身二元
平均寿命が世界一になっても、50歳代、60歳代でお亡くなりになる方はいらっしゃいます。それも天寿、そう思うわけです。紀元前の古代ギリシャ時代の「ただ生きるのではなく、よく生きる」という命題は、この世に生を受けた人間の絶えざる苦悩になっているかもしれません。
「心身一如」(身心一如)という言葉があります。心と身体は一体、その調和=健康という考え方を背景にしています。古代ギリシャ哲学はその後さまざまな哲学(学問・研究)に枝分かれしました。デモクリトスという人は、この世に存在するものは全て原子という最小単位で構成されているとする「原子論」を唱えました(人間も原子の集合体)。そして、医学も哲学の一分野として枝分かれしました。アリストテレスと同時代を生きたヒポクラテス(医師)もプラトンやアリストテレスと同じように、人間は心という見えない、あやふやなものを持った複雑な物体と考えていました。すなわち、古代ギリシャ時代から原子論の再興のようにデカルトが登場するルネサンス期まで、西洋でも東洋でも同じように、人間は見えない心をもつ物体と考えられていたということになります。
西洋近代医学に最も影響を与えた哲学はデカルト哲学だといっていいでしょう。デカルトは「我思う、ゆえに我あり」に代表され、ご存じの方も多いと思います。見えるもの、認知できるもの(身)だけが存在している(ある)という考え方です。ですから、見えないもの(心・魂)、あやふやなもの(概念)は存在していない(ない)と考え、存在を客観化しようとしたのです。この考え方が物質科学だけではなく、人間を対象とする医学に大きな影響を与えたわけです。医学でも、人間の見えない、あやふやなもの(心・魂)は否定し、明確なもの(物体)を対象にするという考え方が支配的になり、客観的なもの(誰でも見える、共通する;臓器)だけが対象となり、医学の発展を押し上げたのです。
この考え方によれば、医学でも物体だけ(臓器)を考えればいいことになり、物体(臓器)が故障してるか調べる【検査】、物体(臓器)が故障していたら修理する【治療】、物体(臓器)が使えなくなったら取り換える【移植】という、現代医学の原型が生まれたわけです。こうして、西洋近代医学はあやふやさを捨て、二者択一的な、クリアな考え方をとることによって急速に発展したわけです。一方、東洋医学は人間のあやふやさ、見えないもの(心・気)の存在を本質的に認めます。今日も大変重視しますが、そこに西洋近代医学の考え方と大きな違いがあります。デカルトからニュートン(万有引力の発見)へ至る時代に確立された「デカルト・ニュートン哲学」は、近代科学や近代社会、そして近代医学の発展に最も大きな影響を与えた哲学といわれるのです。

4. 健康である、ウエルネスである
さて、私たちが健康であると思える自分はどんな自分でしょうか。痛いところがない、食事をしっかり摂れる、よく眠れる・・・と感じる自分でしょうか。健康を考えるとき、ほとんどの人は身体(物体)の状態がいいかどうかを考えるのではないでしょうか。
WHO(世界保健機関)は、『健康とは、単に病気ではない、弱っていないことではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、すべて満たされた状態である』と定義しています。これは、医療(病気の治療)だけではなく、精神(心の)生活や社会生活(人との関わり)が健康を支える重要な視点であるということなのです。さらにWHOでは Dynamic State、またSpiritual ということを健康に盛り込む議論が続けられています。Dynamic State とは、健康と病気は段階的違いであると考えること、Spiritual は心豊かな生活をもつことといっていいでしょう。
既にお話しましたが、西洋近代医学は二者択一的であり、「病気か健康かのどちらか」と思考します。検査はその択一化のためにあり、「基準値を超えれば病気、基準値以下なら健康」と考えるわけです。それに対し、東洋医学は「病気と健康は段階的な違いである」と思考し、「病気ではないが健康ではない」、あるいは「未病」という病気であると診断することが普通にあります。また、東洋医学は、依然、人間は見えない心をもった物体と考えていて、あるがままの人間を観ているわけです。ですから、WHOの現在の議論とは、東洋医学(哲学)の本質を、いかに西洋近代医学と融合させるかという議論ともいえるように思えるわけです。
デカルト哲学によって急速に発展した西洋近代医学は今、転換点にあるといっていいと思います。私たちは「病は気から」という言葉があるように、心の状態、心のあり様が病気の発症にも関わっていることを学んできました。ハルバート・ダン博士が提唱した「ウエルネス」の言葉は私たちの健康が身体(物体)のみにあらず、豊かな精神生活(心の生活)あってこそもたらされるものであることを見事に示した、感動あふれる言葉だと思います。
古代ギリシャ時代のプラトンやアリストテレス、ヒポクラテスの時代に、見えない、あやふやさ(心)をもつ人間観は確立していました。だからこそ「ただ生きるのではなく、よく生きる」という命題に苦悩したわけです。ルネサンス期という時代に登場したデカルト・ニュートン哲学によって物質万能時代(人間も物質・原子)に移行したかのようですが、今、古代ギリシャの人間観に戻り、「ただ生きるのではなく、よく生きる」という命題を考えることは、よく生きるための精神生活、心豊かな時間、そして心身のウエルネスをもたらすのではないか、そう思うわけです。                                           
                                           (第27回 完)


posted by 高原裕一 at 18:36| ダイエット&ウエルネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月02日

第26回 リコピンフォーラム 「リコピンLyc-O-Mato科学・技術セミナー(3)」

第26回 『 リコピンLyc-O-Mato科学・技術セミナー(3)』

1. 米国FDAが唯一認めるリコピンエキス
さて、今回は品質に関連する研究報告です。リコピンは食品ですから、まず「安全、安心できる品質」が第一に問題となります。リコピンエキスは天然トマト6トン(t)から1トンのトマトペースト、そこから0.3トンのリコピンエキス粉末ができるとされます。ライコマート(Lyc-O-Mato)は米国FDAが唯一承認したリコピンエキスですが、ライコレッド社はFDAの基準を超える自主基準を定める世界No1リコピンメーカーです。(cf.  残留農薬:FDA基準25ppm以下 ⇒ ライコレッド社基準3ppm以下)
リコピンエキスの製造は@トマトを砕いてパルク化工程 A脱酸素化工程 B乾燥化工程などがありますが、この過程でリコピンも酸化分解されて、トマトに含まれるリコピンの半量程度しか最終的にはエキス化できません。ライコレッド社はトマトに含まれるリコピンを安全で効率よくエキス化する独自の先端技術(米国・EU特許技術)をもっています。この技術によってリコピンの酸化分解を抑制し、高品質なリコピンエキスを抽出・製造しています。そのため、ライコレッド社はトマトの種子の選別から最終エキス製品まで一貫した技術工程を確立し、トマト1トンから1kgのリコピンエキスを製造しています。残留農薬も2ppm以下となっており、FDA基準よりさらに厳しい品質管理がなされています。

2. リコピンエキスの安全性と製造技術
リコピンエキスを抽出するために塩素系薬物を溶媒にしてエキス収量を高めている企業が多いのですが、ライコレッド社は酢酸エステルを溶媒に用いて、安全性の確保、リコピンの酸化分解を抑制しています。そうした技術の蓄積があって、FDAが唯一承認するリコピンエキスが生まれているわけです。
例えば、食品として市販される中国産リコピンエキス、インド産リコピンエキス4種の分析結果で、残留農薬がいずれもライコマートの10倍以上、残留溶媒は100倍などという、品質管理が疑問とさえいえるリコピンエキスがあるわけです。また、リコピンを二酸化炭素(CO2)や塩素系溶媒で抽出するメーカーが多いことも共通しています。さらに、安全性試験、毒性試験も行われていない(公表されているデータがない)など、品質管理面で大きな違があるのです。
FDAの基準をクリアするためには酢酸エステルによる抽出技術の確立が必要です。また、安全性とともにリコピンエキスの細粒化技術も必要です。ライコマートは粒子径が3ミクロンという基準値であり、60~120ミクロンの中国産やインド産リコピンと大きく異なっています。このことはリコピンが吸収されるか、体内で利用できるか(バイオ・アベイラビリティ;体内利用率)に直結し、極めて重要な問題になっています。一般には60ミクロン以上は体内利用できないとされているためです。
こうした観点を前提にしたとき、日本ではライコマートのほかに中国産、インド産リコピンが極めて低価格で販売されていますが、米国には中国産、インド産のリコピンはありません。FDAの品質基準をクリアできないためです。
 a1180_007517_m.jpg lycomato2.JPG  resizeCA6Z17EO.jpg 350069a4.jpg

3. リコピンの活性メカニズム
リコピンはフィトエン・フィトフルエン(同じカロテノイド成分)との相乗作用で活性化すことがわかっています。すなわち、リコピンだけではほとんど活性化しないということです。ですから、
リコピンの配合量だけを高めても意味はなく、フィトエン・フィトフルエンを同時に配合する必要があるのです。ライコレッド社の研究では、リコピン:フィトエン+フィトフルエンの配合比が1:1で最も活性が高まることが臨床的に確認されています。(皮膚の紫外線による紅班形成の防御研究、1回15mg×2回 1日30mg服用)

4. 病気予防を考えたカロテノイドバランス
ライコレッド社では、A 心・血管系病 B 皮膚系病 C 男性系病 D 抗酸化ストレス防御に分類して、リコピンとカロテノイド成分の活性化、すなわちその配合バランスの研究を進めています。
A 心・血管系(血圧)・・・・・リコピン:フィトステロールを1:1とし、+ビタミンE+β-カロテン+フィトエン+フィトフルエン
B 皮膚系(紅班)・・・・・・・・リコピン:フィトエン+フィトフルエンを1:1とし、+ビタミンE+β-カロテン
C 男性系(前立腺)・・・・・・リコピン:ビタミンEを1:1とし、+フィトエン+フィトフルエン+βカロテン+フィトステロール
D 抗酸化ストレス防御・・・リコピン:ビタミンE:フィトエン+フィトフルエンを1:1:1とし、+β-カロテン
この配合比の研究は、最もリコピン活性が高まり、予防効果につながると考えられるカロテノイドバランスです。

5. Lyc-O-Matoリコピンの特長
@ライコマートリコピンは、米国FDAが食品成分で唯一認可しているリコピンエキスである
Aバイオ・アベイラビリティ(体内利用率)が他社製品より30%以上高い
Bリコピンの活性を高めるトマト成分フィトエン、フィトフルエン、ビタミンEを含む複合エキスである
C塩素系溶媒を使用せずに抽出するため、安全性が極めて高い製品である
D安全性試験と毒性試験を適切に実施し、品質データが蓄積され、公表されている

以上、2013年のライコマートリコピンセミナーを3回にわたって報告してきました。
昨年12月初旬、リコピンを配合した「夜飲めば朝ダイエットする」と宣伝する、若い女性に有名なデキストリンサプリメントが消費者庁の是正勧告(行政処分;過大広告)を受けました。リコピンは貴重な天然カロテノイド成分であり、ダイエットに役立つ成分です。しかし、リコピンだけではその機能が働かないこと、他のカロテノイド成分や油性成分が活性化に必要であることフォーラムでも再三お伝えしてきました。リコピンは天然薬物に最も近い食品成分(カロテノイド)といってもいいと思いますが、それを健康に役立てるために、製品設計が極めて重要になるわけです。今回、
消費者庁から是正勧告を受けた疑似リコピンサプリ(すなわちデキストリンサプリメント)は、消費者が最も必要な情報であるデキストリン(デンプン繊維質成分)に関してまったく情報提供せず、一部配合したリコピンだけ根拠もなく過大に宣伝していたわけです。その企業姿勢には問題があるといわねばなりません。リコピンスペシャリストとして私も大変残念な事件だと思っています。
                                             (第26回 完)
                                                 (第26回 完)
posted by 高原裕一 at 10:20| サプリメント&健康食品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。